新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

高橋さんが、 私の髪に触れながら微笑んだ。
「お前にとっては、 今日は長い一日だったな」
「ふぇっ?」
不意にそんな事を言われて、 てっきり高橋さんがオオカミに変身しちゃうのかな? なんて、 ちょっとエッチな事を考えていたので、 意表を突かれて変な返事になってしまった。
「ハハッ……。 お前は、 本当に笑える奴だ」
「そ、 そんな事ないです。 高橋さ……ンッ……ンンッ……」
高橋さんは、 ソファーに私を押し倒しながらキスをした。
「まったく心配性だな。 そんなに俺が、 お前の負担になるとでも思ってるのか?」
「だって……」
「俺はさぁ……」
そこまで言い掛けて、 高橋さんが立ち上がった。
「キャッ……」
そして、 高橋さんが私を抱っこして寝室の方へと歩み出した。
「た、 高橋さん」
「はい」
うっ。
いきなり返事をされると、 言葉に詰まる。
そんな事はお構いなしに、 高橋さんは寝室のドアを開けてベッドにそっと私を下ろすと、 枕元のスタンドのライトを1つ消した。 そして、 毛布を掛けながら高橋さんも横になった。
もう、 すでにこの状態で心臓の鼓動が最高潮に達している私って……。
「おいで」
高橋さんはそう言って、 私を自分の脇の下に引き寄せた。