「それからは、 貴博は大学に出てくるようになったんだけど……まるで別人のようになっちゃって。 すっかり、 手当たり次第って感じの遊び人になっていてね。 でも、 その頃から話せるようになったのも事実だった。 だけど、 人を寄せつけない雰囲気を持っていたわ。 それが、 いつだったか忘れちゃったけど、 試験前にノート貸してから親しくなれてね。 それで、 思ったのよ。 こんな貴博を救えるのは、 私だけなんじゃないかって」
思わず、 ゆっくりと顔を上げながら智子さんに視線を向けた。
「その時、 彼氏がいたんだけど……私から敢えて貴博を誘ったの」
「えっ?」
一瞬、 耳を疑った。
「そうしたら、 貴博が言ったのよ」
きっと、 高橋さんは断ったはず。 そんな事をする人じゃないもの。 でも……。
「俺は、 来る物拒まずだからって」
そんな……。
高橋さんと智子さんは、 そういう関係だったの?
体中が激しく脈打って、 飛び出しそうな心臓を抑えるように、 無意識に左手を胸にあてて大きく深呼吸をした。
「それで、 貴博と私は……」
「やめて! や、 やめて下さい。 もう、 何も言わないで」
耳を塞いで、 前屈みになった。
聞きたくない。 そんな事……聞きたくない。
「嫌! やめて下さい」
智子さんが、 耳を塞いでいる両手を無理矢理引き離した。
「人の話は、 最後まで聞きなさいよね。 モテる男の彼女の宿命だと思って」
うっ。
智子さんのその声は、 とても冷淡でドスがきいていた。
思わず、 ゆっくりと顔を上げながら智子さんに視線を向けた。
「その時、 彼氏がいたんだけど……私から敢えて貴博を誘ったの」
「えっ?」
一瞬、 耳を疑った。
「そうしたら、 貴博が言ったのよ」
きっと、 高橋さんは断ったはず。 そんな事をする人じゃないもの。 でも……。
「俺は、 来る物拒まずだからって」
そんな……。
高橋さんと智子さんは、 そういう関係だったの?
体中が激しく脈打って、 飛び出しそうな心臓を抑えるように、 無意識に左手を胸にあてて大きく深呼吸をした。
「それで、 貴博と私は……」
「やめて! や、 やめて下さい。 もう、 何も言わないで」
耳を塞いで、 前屈みになった。
聞きたくない。 そんな事……聞きたくない。
「嫌! やめて下さい」
智子さんが、 耳を塞いでいる両手を無理矢理引き離した。
「人の話は、 最後まで聞きなさいよね。 モテる男の彼女の宿命だと思って」
うっ。
智子さんのその声は、 とても冷淡でドスがきいていた。


