「いいんじゃない?」
えっ?
ミネラルウオーターを飲む手が止まり、 仁さんを見た。
「その気持ちだけでさ。 きっと、 貴博は別に何も望んじゃいないと思うよ」
「そんな……」
「誤解しないで欲しい。 何も望んでないんじゃなくて、 陽子ちゃんが健康でいつも貴博の傍にいてあげることが、 彼奴にとって幸せなことなんじゃない? それだけで、 十分だって貴博は思っていると思うよ」
「仁さん……」
仁さんが、 飲んでいたミネラルウオーターの入ったペットボトルを、 ビーチベットの上に置いた。
「さて! もうひと遊びしてくるかな」
そう言って立ち上がると、 仁さんは海にいる3人の方へと歩きかけて振り返った。
「だから、 早く元気にならなきゃ」
仁さんが、 右手の親指を立てた。
そして微笑むと、 そのまま3人に合流するように海に入っていってしまった。
仁さん……。
本当に、 仁さんは大人だな。
でも、 とても嬉しかった。 仁さんの言ってくれた言葉に少し自信が湧いてきて、 このハワイ滞在中にもっと元気になろうと心の中でガッツポーズをしながら、 また気持ちも新たに読みかけの本に没頭した。
そういえば……高橋さんに借りたこの本、 本当に面白い。 入院していた頃からの読みかけの本だったが、 その後忙しくて読む時間がなかった。 荷物になるかとは思ったけれど、 持ってきて正解だったなと悦に浸っていると、 ふと人の気配を感じた。 顔を上げると、 頭からびしょ濡れの智子さんが立っていた。
「お邪魔ぁ」
「あっ……は、 はい」
智子さんは、 仁さんが飲みかけたペットボトルのキャップを開けて、 ミネラルウオーターを飲み始めた。
えっ?
ミネラルウオーターを飲む手が止まり、 仁さんを見た。
「その気持ちだけでさ。 きっと、 貴博は別に何も望んじゃいないと思うよ」
「そんな……」
「誤解しないで欲しい。 何も望んでないんじゃなくて、 陽子ちゃんが健康でいつも貴博の傍にいてあげることが、 彼奴にとって幸せなことなんじゃない? それだけで、 十分だって貴博は思っていると思うよ」
「仁さん……」
仁さんが、 飲んでいたミネラルウオーターの入ったペットボトルを、 ビーチベットの上に置いた。
「さて! もうひと遊びしてくるかな」
そう言って立ち上がると、 仁さんは海にいる3人の方へと歩きかけて振り返った。
「だから、 早く元気にならなきゃ」
仁さんが、 右手の親指を立てた。
そして微笑むと、 そのまま3人に合流するように海に入っていってしまった。
仁さん……。
本当に、 仁さんは大人だな。
でも、 とても嬉しかった。 仁さんの言ってくれた言葉に少し自信が湧いてきて、 このハワイ滞在中にもっと元気になろうと心の中でガッツポーズをしながら、 また気持ちも新たに読みかけの本に没頭した。
そういえば……高橋さんに借りたこの本、 本当に面白い。 入院していた頃からの読みかけの本だったが、 その後忙しくて読む時間がなかった。 荷物になるかとは思ったけれど、 持ってきて正解だったなと悦に浸っていると、 ふと人の気配を感じた。 顔を上げると、 頭からびしょ濡れの智子さんが立っていた。
「お邪魔ぁ」
「あっ……は、 はい」
智子さんは、 仁さんが飲みかけたペットボトルのキャップを開けて、 ミネラルウオーターを飲み始めた。


