新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

「えーっと! お取り込み中のところぉ」
エッ……。
いきなり背後から明良さんの声が聞こえてきて、 高橋さんの唇が離れ、 高橋さんは明良さんの方へと振り返った。
どうしよう……。
高橋さんと、 キスをしていたところ見られた? いや、 確実に見られたはず。 恥ずかしくて、 明良さんの顔がまともに見られない。
「そこの、 オオカミ中年よ!」
「はん? 何だと? 青年と言え! 青年とぉ。 歳、 一緒だろが!」
明良さんに見られた事など、 なんとも思っていないのか? 高橋さんは、 明良さんに言い返している。
「かぁなぁりぃ、 前に帰ってきてランチの準備をしていたんだけど、 キッチンの出窓からアツアツのカップルが目に入りましてねぇ……。 それを見ながら楽しーく、 料理しちゃったよ」
もう、 嫌だ……。
恥ずかしい。 もう、 帰りたくなっちゃう。 帰りたくないけど……。
明良さんもそうだけど、 仁さんにもきっと見られちゃったよね?
俯いていた頭をもっともっと低くして、 背の高いみんなに赤面している表情を見られないように、 砂浜の一点を見つめたまま動けなかった。
「それが、 どうした?」
えっ?