新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

「キャッ……」
隣に座ろうとした私を高橋さんが腰を持ったと思ったら、 気づくとそのまま抱っこされてしまっている。 驚いて、 抱っこされたまま高橋さんの顔を見上げた。
「To be continued の続き?」
えっ? な、 何?
そう言って高橋さんは悪戯っぽく笑うと、 私を抱っこしたまま寝室に入りドアを閉めた。
「あ、 あの、 高橋さん」
そんな私の問いかけも無視して、 無造作にベッドカバーを外してベッドに静かに寝かされた私の真上には、 高橋さんの顔が迫っていた。
「明良達も、 昼過ぎまで帰って来ないし?」
「高橋さん……あの……」
高橋さんが、 私の両目を左手で塞いだ
「少し寝た方がいい。 お前、 このままだと夜までもたないぞ。 明良のテンションについていくには、 かなり体力いるし」
そう言いながら私の両目を塞いでいた左手を離したので、 そのまま高橋さんを見上げた。
「フッ……。 ひょっとして、 お前。 また、 エロい事でも考えたんじゃねぇのぉ?」
「ち、 違います。 違いますって! そ、 そんな事、 あ、 あるわけないじゃないですか。 高橋さん。 な、 何言って……」
真上に居た高橋さんが急にベッドから立ち上がったので、 不安になってその行動を目で追った。
何処に行くの……高橋さん?
エッチな事を想像しちゃっていた自分が、 少し気恥ずかしくて仕方なかったが……。
すると、 高橋さんは窓の傍まで行って、 半分だけロールカーテンを引き、 また戻ってきた。 そのせいで、 少しだけ部屋が暗く感じられた。 そして、 高橋さんはそのまま私の左隣に横になった。 その瞬間の安堵感たるや、 本当に何とも言えない気分だった。
「そんな不安そうな顔を、 す・る・な! 何処にも行かないから、 安心して寝ろ。 俺も、 少し寝る」
そう言いながら高橋さんが、 私の鼻を人差し指で軽く3回叩いた。