新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

「話は、 もう済んでいるはずだが……」
「どういう事なのか、 ちゃんと説明して下さい」
「さっき、 説明した通りだ」
坂本さんは、 凄い剣幕で手に握りしめていたB5サイズぐらいの用紙を見せながら、 捲し立てている。
しかし、 高橋さんは、 それ以上は何も言わずに、 横に立っている坂本さんを見上げていた。
「高橋さんの、 差し金ですよね?」
差し金?
坂本さんのそのひと言に、 中原さんと目が合ったが、 お互い無言のまま高橋さんと坂本さんの会話を黙って見守った。
「何のことだ?」
背筋が凍るような冷酷な声に、 恐る恐る高橋さんを見ると、 椅子に座ったまま坂本さんを見上げていたが、 高橋さんのその瞳に暖色はなかった。