高橋さんが目を通しながら捺印を押してくれるまで、 横に立っていた私は、 隣りに座っている坂本さんの方へと、 向き直った。
「今度から僕の時には、 高橋さんほどキャパないから、 もっと早めに書類は廻して欲しい。 急ぎとか言っても、 すぐには捺印押せないからね」
エッ……。
思わず中原さんと、 目が合った。
「あ、 あの……」
「何?」
怪訝そうな表情で、 坂本さんがこちらを見た。
私が、 滞らせた訳ではない。 書類自体が回ってくるのが遅い事が多く、 回って来れば直ぐに処理をしていたから……今までは、 何とも思っていなかった。
「はい、 矢島さん。 これお願い」
「すみません。 ありがとうございます」
「坂本」
高橋さんが、 坂本さんを呼んだ。
そう……昨日、 中原さんと話したところによると、 坂本さんは入社7年目。 入社して、 最初は経理に居たらしいが、 税理士の免許を取ってそのまま海外に直ぐ行っていたらしい。 なので、 会計士の高橋さんの方が格も上だけから、 決算を締めるには会計士が必要なので、 普段の業務は税理士でも支障はきたさないが、 決算の時だけは、 やっぱり高橋さんが帰ってくる事になるんだそうだ。
「ウチの会社は少数精鋭でやっている。 だから、 書類が回ってくるのも遅いんだ。 一概に、 ウチの部の仕事が遅いとは言い切れないし……それではやっていけない」
「そうですか。 でも、 それを改善すればいいんですよね」
な、 何?
この人、 いったい……。
「まあ、 そういう事だが……」
「僕は、 僕のやり方でやりたいと思ってますんで」
嘘でしょう?
何でそんな事、 高橋さんに言えるの?
「坂本さん。 社長室からお電話です」
そんな会話を遮るように、 中原さんが坂本さんを呼んだ。
「はい! 坂本です。 はい! 直ぐ伺います」
坂本さんは、 電話が終わると直ぐに立ち上がった。
「今度から僕の時には、 高橋さんほどキャパないから、 もっと早めに書類は廻して欲しい。 急ぎとか言っても、 すぐには捺印押せないからね」
エッ……。
思わず中原さんと、 目が合った。
「あ、 あの……」
「何?」
怪訝そうな表情で、 坂本さんがこちらを見た。
私が、 滞らせた訳ではない。 書類自体が回ってくるのが遅い事が多く、 回って来れば直ぐに処理をしていたから……今までは、 何とも思っていなかった。
「はい、 矢島さん。 これお願い」
「すみません。 ありがとうございます」
「坂本」
高橋さんが、 坂本さんを呼んだ。
そう……昨日、 中原さんと話したところによると、 坂本さんは入社7年目。 入社して、 最初は経理に居たらしいが、 税理士の免許を取ってそのまま海外に直ぐ行っていたらしい。 なので、 会計士の高橋さんの方が格も上だけから、 決算を締めるには会計士が必要なので、 普段の業務は税理士でも支障はきたさないが、 決算の時だけは、 やっぱり高橋さんが帰ってくる事になるんだそうだ。
「ウチの会社は少数精鋭でやっている。 だから、 書類が回ってくるのも遅いんだ。 一概に、 ウチの部の仕事が遅いとは言い切れないし……それではやっていけない」
「そうですか。 でも、 それを改善すればいいんですよね」
な、 何?
この人、 いったい……。
「まあ、 そういう事だが……」
「僕は、 僕のやり方でやりたいと思ってますんで」
嘘でしょう?
何でそんな事、 高橋さんに言えるの?
「坂本さん。 社長室からお電話です」
そんな会話を遮るように、 中原さんが坂本さんを呼んだ。
「はい! 坂本です。 はい! 直ぐ伺います」
坂本さんは、 電話が終わると直ぐに立ち上がった。


