新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

「い、 いつから起きていたんですか?」
「ん? 今」
高橋さんが私の右肩を引き寄せ、 そのまま真上に来たので、 恥ずかしくて胸を咄嗟に手で隠す。
「そういうお前も、 何度も気持ちよさそうな顔して、 まんざらでもなさそうだったが?」
「い、 いやん!」
恥ずかしさのあまり胸を肘で隠しながら、 両手で顔を覆った。
「ンンッ……ハンッ……」
高橋さんが、 いきなり覆っていた顔から両手を剥ぎ取ると、 深いキスを落とし始めた。
「続きする? 胸、 丸見えだけど」
高橋さんは小首を傾げると、 妖艶に微笑みながら囁いた。
「いやん、 恥ずかしい」
咄嗟に、 胸を隠そうとしたが適わない。
「な、 何を言ってるんですか! し、 しません」
慌てて高橋さんを払いのけて起き上がろうとしたが、 腰砕けで力が入らずベッドから転げ落ちそうになってしまった。
「おっと!」
間一髪のところで、 高橋さんが私の左手首を掴みながら引き戻してくれた。
「ハハッ……。 相変わらず、 朝からエロいな。 サービス満点の陽子ちゃん。 丸見えだ」
「えっ? あっ……嫌だぁ。 見ないで、 エッチ!」
慌てて肌がけ布団の中に潜り込み、 胸のあたりで布団を両手で押さえた。
「フッ……なぁにを今更。 大人しく寝てろ」
そう言うと、 高橋さんは起きあがって寝室から出て行ってしまった。
ううぅぅ……。
また見られちゃった……というか、 見せてしまったというか……朝から恥ずかしい。
そんな反省ばかりをしながら、 窓辺に心地よい朝日を感じてウトウトしてしまっていた。
遠くで寝室のドアの開く音がして、 ゆっくり目を開けると、 シャワーを浴びて濡れた髪の高橋さんが、 上半身裸で戻ってきた。
その姿を寝ながら薄目を開けて見ていたが、 つい胸がキュンとなってしまう。 凄く男っぽいというか、 艶やかという言葉がピッタリというか……綺麗な体をしているうえに、 濡れた髪が映えて、 余計にセクシーさを醸し出している。
高橋さんは、 ベッドの脇に置いてあったTシャツを着ると、 枕元に座った。
エッ……。