新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

「解禁!」
「えっ?」
「今夜、 お前を抱いていいか?」
そう言った途端、 そのままソファーに押し倒された。
そして、 甘いキスを何度となく落とされたまま、 高橋さんが私を起こすと、 一緒に立ち上がった。 しかし、 身体がフワフワしてしまっていて、 立ち上がった瞬間に高橋さんにしがみつきながら、 立っているのがやっとだった。
何だかそれが悔しくて、 高橋さんを見上げた。
「フッ……。 そんな目で、 俺を誘うな」
「さ、 誘ってなんか、 い、 今……キャッ……」
高橋さんは、 素早く私を抱き上げると、 リビングの照明を途中で消しながら、 寝室へと向かった。
「アアッ……ンンッ…ハア…」
高橋さんの温かい体温を感じながら、 そしてその温もりに安堵しながら身を任せる。
「アッ……駄目……」
「駄目じゃないだろ?」
「イヤッ……明る過ぎます。 恥ずかしい……高橋……さん」
「フッ……明るくても、 俺は構わない。 エロいお前がよく見えて」 
「意地……悪……アンッ……」
朦朧とした意識の中、 快楽の縁へと高橋さんは私をいざないながら、 こんな事! と思えるようなあんな事や、 もう絶対お嫁に行けないような事までさせられて、 空が白みはじめた夏が近い事を知らせる明け方。 ブラックアウトするまで、 高橋さんは私を離さなかった。

筋肉痛になったような、 身体の気怠さを感じながら目が覚めて、 ふと腰のあたりに重みを感じ辿っていくと、 高橋さんは右手を後ろから私の腰に廻したまま眠っていた。 纏っているのは肌がけ布団だけ。 高橋さんの素肌を直に感じるということは、 恐らく何も纏っていないと思う。 身体のあちらこちらが、 痛くて気怠い。 普段使っていない筋肉を使ったせいか、 ジッとしていても悲鳴をあげている。
「絶倫……」
小声で呟いたつもりだった。
「誰が?」
うわっ。
思わず、 肩がビクン! となってしまい、 顔だけ後ろを振り返った。