「イケメン中原! 海外出向者の奥さんは、 本当に大変なのよ。 レセプションだ、 何だかんだと嫁同伴が結構あって、 向こうでのお付き合いもあるし。 日本人社会は狭いから、 ホームパーティとか毎週末のようにやったりね。 好きな人なら良いけれど、 恐怖の週末! なんて思っている家庭もあるみたいよ」
「それでも、 一緒に居られるんだったら、 その方が良いじゃないんですか」
「中原。 今までお前は、 誰の為に生きてきた?」
「えっ? 誰の……為……ですか?」
高橋さんが、 穏やかな口調で中原さんに尋ねた。
「別れた彼女の為か?」
うっ。
高橋さんは、 相変わらず直球でズバッと中原さんを見ながら言った。
「いえ、 自分の為ですかね」
「誰しも、 自分の為に生きていると思う。 でも、 お前もそれはいつしか誰かの為だと思うようになるはずだ」
「自分の為に生きる事が、 誰かの為なんですか?」
中原さんは、 解せないと言った言い方だった。
「そうだ。 俺も自分の為だけに生きてきた。 だが、 それは年月を追う毎に、 誰かの為に生きていると思うようになった」
「おっしゃっている意味が、 俺にはわかりません」
「まあ、 聞け。 例えば、 自分の幸せが誰かの幸せと同じだなんて、 偽善だと思うだろ?」
「はい」
中原さんは、 それは納得しているようだった。
ふと山本さんを見ると、 タバコを燻らせながら高橋さんの話に耳を傾けている。
「でも、 いつ頃からか自分の幸せが誰かの幸せと同じだという事と、 切り離せなくなってしまっていたんだ。 よく言うような? 子の不幸は親の不幸と言うように、 それに気づくまで、 かなり遠回りを俺もしたんだが……」
高橋さん……。
「それでも、 一緒に居られるんだったら、 その方が良いじゃないんですか」
「中原。 今までお前は、 誰の為に生きてきた?」
「えっ? 誰の……為……ですか?」
高橋さんが、 穏やかな口調で中原さんに尋ねた。
「別れた彼女の為か?」
うっ。
高橋さんは、 相変わらず直球でズバッと中原さんを見ながら言った。
「いえ、 自分の為ですかね」
「誰しも、 自分の為に生きていると思う。 でも、 お前もそれはいつしか誰かの為だと思うようになるはずだ」
「自分の為に生きる事が、 誰かの為なんですか?」
中原さんは、 解せないと言った言い方だった。
「そうだ。 俺も自分の為だけに生きてきた。 だが、 それは年月を追う毎に、 誰かの為に生きていると思うようになった」
「おっしゃっている意味が、 俺にはわかりません」
「まあ、 聞け。 例えば、 自分の幸せが誰かの幸せと同じだなんて、 偽善だと思うだろ?」
「はい」
中原さんは、 それは納得しているようだった。
ふと山本さんを見ると、 タバコを燻らせながら高橋さんの話に耳を傾けている。
「でも、 いつ頃からか自分の幸せが誰かの幸せと同じだという事と、 切り離せなくなってしまっていたんだ。 よく言うような? 子の不幸は親の不幸と言うように、 それに気づくまで、 かなり遠回りを俺もしたんだが……」
高橋さん……。


