詰め寄る中原さんの声をよそに、 横にいる高橋さんの顔を見るのが怖くて、 そのまま
テーブルの上のコースターを見つめていた。
「今日、 内示があって……」
ああ。
心臓が高鳴っているのが、 よくわかる。 まともに高橋さんの顔を、 見られない。
「えっ?」
中原さんの声が、 急にトーンダウンした。
「10月はじめから、 ニューヨークに行く事になった」
「そ、 それ本当ですか? 有り得ないですよ。 どうするんですか? 高橋さん。 本社の決算は、 誰が締めるんですか?」
中原さんが、 珍しく大きな声を出した。
「しかも、 ボストンも兼任なのよね……貴博」
「マジですか?」
ボストンも兼任って……忙しすぎる。
思わず、 高橋さんの顔を見た。 きっと、 もの凄く忙しくなるって事だ。
「今のところ、 決算月は向こうとは時期がずれているから、 その時だけ帰って来る事になる」
ああ……。
高橋さんが、 言っていたとおりになってしまったんだ。
ふと視線を感じて見ると、 中原さんが私を見ていた。
「矢島さんも、 一緒に連れてくんですよね? 高橋さん」
エッ……。
「な、 中原さん。 何を言ってるんですか? 私は……」
「勿論、 連れて行くんですよね?」
中原さんが、 念を押すように高橋さんに聞いている。
ああ……中原さん。 やめて! これ以上、 聞かないで。
「何でだ?」
高橋さんは、 静かに中原さんに問い返した。
「何でだって……高橋さんが、 1番良くわかっているはずです。 矢島さんは、 高橋さんがいないと駄目なんですよ。 そのぐらい高橋さんだって、 百も承知なんじゃないですか?」
中原さんは、 何故かムキになっていた。
「俺は、 仕事とプライベートは分けているつもりだが?」
高橋さんの、 ひと言、 ひと言に、 胸が締め付けられる思いがする。
テーブルの上のコースターを見つめていた。
「今日、 内示があって……」
ああ。
心臓が高鳴っているのが、 よくわかる。 まともに高橋さんの顔を、 見られない。
「えっ?」
中原さんの声が、 急にトーンダウンした。
「10月はじめから、 ニューヨークに行く事になった」
「そ、 それ本当ですか? 有り得ないですよ。 どうするんですか? 高橋さん。 本社の決算は、 誰が締めるんですか?」
中原さんが、 珍しく大きな声を出した。
「しかも、 ボストンも兼任なのよね……貴博」
「マジですか?」
ボストンも兼任って……忙しすぎる。
思わず、 高橋さんの顔を見た。 きっと、 もの凄く忙しくなるって事だ。
「今のところ、 決算月は向こうとは時期がずれているから、 その時だけ帰って来る事になる」
ああ……。
高橋さんが、 言っていたとおりになってしまったんだ。
ふと視線を感じて見ると、 中原さんが私を見ていた。
「矢島さんも、 一緒に連れてくんですよね? 高橋さん」
エッ……。
「な、 中原さん。 何を言ってるんですか? 私は……」
「勿論、 連れて行くんですよね?」
中原さんが、 念を押すように高橋さんに聞いている。
ああ……中原さん。 やめて! これ以上、 聞かないで。
「何でだ?」
高橋さんは、 静かに中原さんに問い返した。
「何でだって……高橋さんが、 1番良くわかっているはずです。 矢島さんは、 高橋さんがいないと駄目なんですよ。 そのぐらい高橋さんだって、 百も承知なんじゃないですか?」
中原さんは、 何故かムキになっていた。
「俺は、 仕事とプライベートは分けているつもりだが?」
高橋さんの、 ひと言、 ひと言に、 胸が締め付けられる思いがする。


