歩きかけた私の左手首を、 後ろから座っていた高橋さんが掴んだ。
驚いて振り返り、 高橋さんの顔を見た。
「俺も、 一緒に行く」
う、 嘘でしょ?
「だ、 大丈夫です。 私1人で……」
「いや、 結果だけは俺も一緒に聞くから」
そんな……。
「行こう!」
そう言うと、 高橋さんは私の手首を掴んだまま前を歩いて、 診察室3番のドアの前で立ち止まった。 そして、 ドアをノックしながら少しだけ後ろに居た私の顔を見た。 心臓が飛び出そうなぐらい、 心拍数が速くなっているのがわかる。 すると、 手首を持っていた高橋さんが手を離し、 私の左手をギュッと握ったので、 思わず高橋さんの顔を見上げた。
「俺がいる。 何も心配するな」
フワッと優しく微笑みながらそうひと言だけ言うと、 高橋さんは私の手を離して診察室のドアを横にスライドさせた。
高橋さん……。
「失礼します」
「どうぞ、 お掛け下さい」
高橋さんが先に診察室に入って挨拶をすると、 先生の声が聞こえた。
高橋さんの後ろに隠れるような感じで居た私は、 背中をそっと押されながら診察室の椅子に座った。
「どうされましたか? 問診票には、 吐き気がするとありますが……今は、 どうですか?」
「今は、 治まっています」
震える手を、 ギュッと両手で握り合わせるように力を込めた。
「先ほどの尿検査の結果は……」
パラパラと先生が検査結果の用紙を捲りながら、 項目を見ている。
その検査結果の用紙と先生の顔を交互に見ていたが、 居たたまれなくって思わず後ろに立っている高橋さんをぎこちなく振り返った。
すると高橋さんは、 また左手で私の頭の上を持って、 前に向き直らせた。
「そうですね……」
そうですねって……先生……どっちなの?
もう臨界点まで達しているほどキャパを超えて、 心臓が破裂してしまいそうだった。
もし……もしも、 私の中に高橋さんの子供を授かっていたとしたら……それは、 きっと……ゴールデンウィーク。
コバルトブルーの海を見ながら過ごした、 あの夢のような日々。 ハワイでのあの夜……我ながら安直で不謹慎にも懐かしく思いながら、 その時に高橋さんがくれた希望……パライバトルマリンのネックレスを無意識のうちに、 ギュッと右手で握りしめていた。
驚いて振り返り、 高橋さんの顔を見た。
「俺も、 一緒に行く」
う、 嘘でしょ?
「だ、 大丈夫です。 私1人で……」
「いや、 結果だけは俺も一緒に聞くから」
そんな……。
「行こう!」
そう言うと、 高橋さんは私の手首を掴んだまま前を歩いて、 診察室3番のドアの前で立ち止まった。 そして、 ドアをノックしながら少しだけ後ろに居た私の顔を見た。 心臓が飛び出そうなぐらい、 心拍数が速くなっているのがわかる。 すると、 手首を持っていた高橋さんが手を離し、 私の左手をギュッと握ったので、 思わず高橋さんの顔を見上げた。
「俺がいる。 何も心配するな」
フワッと優しく微笑みながらそうひと言だけ言うと、 高橋さんは私の手を離して診察室のドアを横にスライドさせた。
高橋さん……。
「失礼します」
「どうぞ、 お掛け下さい」
高橋さんが先に診察室に入って挨拶をすると、 先生の声が聞こえた。
高橋さんの後ろに隠れるような感じで居た私は、 背中をそっと押されながら診察室の椅子に座った。
「どうされましたか? 問診票には、 吐き気がするとありますが……今は、 どうですか?」
「今は、 治まっています」
震える手を、 ギュッと両手で握り合わせるように力を込めた。
「先ほどの尿検査の結果は……」
パラパラと先生が検査結果の用紙を捲りながら、 項目を見ている。
その検査結果の用紙と先生の顔を交互に見ていたが、 居たたまれなくって思わず後ろに立っている高橋さんをぎこちなく振り返った。
すると高橋さんは、 また左手で私の頭の上を持って、 前に向き直らせた。
「そうですね……」
そうですねって……先生……どっちなの?
もう臨界点まで達しているほどキャパを超えて、 心臓が破裂してしまいそうだった。
もし……もしも、 私の中に高橋さんの子供を授かっていたとしたら……それは、 きっと……ゴールデンウィーク。
コバルトブルーの海を見ながら過ごした、 あの夢のような日々。 ハワイでのあの夜……我ながら安直で不謹慎にも懐かしく思いながら、 その時に高橋さんがくれた希望……パライバトルマリンのネックレスを無意識のうちに、 ギュッと右手で握りしめていた。


