「そうなんだ。 それって、 もしかして……ベイビー?」
言われた途端、 思わず俯いてしまった。
「あれ? えっ? マジ?」
明良さんも何だか焦ったみたいで、 次の言葉が出て来ないみたいだった。
でも、 ここで私が暗く恥ずかしがっていてもと思い、 勇気を出して顔をあげた。
エッ……。
顔をあげた私の目に飛び込んできたのは、 明良さんが診察以外では滅多に見せる事のない真剣な眼差しで、 高橋さんを見ている姿だった。 そして、 高橋さんもその視線に合わせるように、 漆黒の瞳で明良さんを座ったまま見上げている。
高橋さんも、 明良さんも、 どうしたんだろう?
「おっ! そろそろ行くわ。 陽子ちゃん。 お大事にね」
時計を見た明良さんが、 そう言って優しく微笑んでくれた。 その姿は、 もういつもの明良さんと変わらなかった。
「はい……ありがとうございます」
「貴博。 またな」
「ああ」
明良さんは手を挙げると、 そのまま前を開けたまま着ていた白衣の裾を翻しながら、 急足で行ってしまった。
「相変わらず、 医者らしくない医者だな」
高橋さんが、 ボソッとそんな事を呟いた。
「えっ?」
明良さんの姿を目で追っていたが、 その声で振り返ると高橋さんに左手首を持たれた。
「立ってないで、 座ったらどうだ?」
「あ、 あっ……はい」
1人で動揺して、 焦っている感じがする。 高橋さんは、 まったく顔に出ない人だからいつも通りの落ち着き払った態度だし……。
これから呼ばれると思うと逃げ出したい気分だけれど、 もし呼ばれても診察室には高橋さんは入って来ないと思うから、 尿検査の結果は知られなくて済むかもしれない。 だとしたら……もしも、 万が一の事があっても高橋さんに知られずに済む。
「矢島さん。 矢島陽子さん。 3番に、 どうぞ」
男の先生の声が私の名前を呼んだので、 反射的にすぐ立ち上がった。
「そ、 それじゃ、 ちょっと行ってきます」
高橋さんにそう告げて、 診察室へと向かおうとした。
エッ?
言われた途端、 思わず俯いてしまった。
「あれ? えっ? マジ?」
明良さんも何だか焦ったみたいで、 次の言葉が出て来ないみたいだった。
でも、 ここで私が暗く恥ずかしがっていてもと思い、 勇気を出して顔をあげた。
エッ……。
顔をあげた私の目に飛び込んできたのは、 明良さんが診察以外では滅多に見せる事のない真剣な眼差しで、 高橋さんを見ている姿だった。 そして、 高橋さんもその視線に合わせるように、 漆黒の瞳で明良さんを座ったまま見上げている。
高橋さんも、 明良さんも、 どうしたんだろう?
「おっ! そろそろ行くわ。 陽子ちゃん。 お大事にね」
時計を見た明良さんが、 そう言って優しく微笑んでくれた。 その姿は、 もういつもの明良さんと変わらなかった。
「はい……ありがとうございます」
「貴博。 またな」
「ああ」
明良さんは手を挙げると、 そのまま前を開けたまま着ていた白衣の裾を翻しながら、 急足で行ってしまった。
「相変わらず、 医者らしくない医者だな」
高橋さんが、 ボソッとそんな事を呟いた。
「えっ?」
明良さんの姿を目で追っていたが、 その声で振り返ると高橋さんに左手首を持たれた。
「立ってないで、 座ったらどうだ?」
「あ、 あっ……はい」
1人で動揺して、 焦っている感じがする。 高橋さんは、 まったく顔に出ない人だからいつも通りの落ち着き払った態度だし……。
これから呼ばれると思うと逃げ出したい気分だけれど、 もし呼ばれても診察室には高橋さんは入って来ないと思うから、 尿検査の結果は知られなくて済むかもしれない。 だとしたら……もしも、 万が一の事があっても高橋さんに知られずに済む。
「矢島さん。 矢島陽子さん。 3番に、 どうぞ」
男の先生の声が私の名前を呼んだので、 反射的にすぐ立ち上がった。
「そ、 それじゃ、 ちょっと行ってきます」
高橋さんにそう告げて、 診察室へと向かおうとした。
エッ?


