新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

「どうした?」
リビングに戻ると、 すぐに異変に気づいた高橋さんに聞かれてしまった。
「い、 いえ、 何でもないです。 お待たせして、 すみません。 早く、 食べましょう」
まさか? 
もしかして……嘘……。
もう1度、 ご飯をよそった時は何ともなかった。 気のせいかな? でも……もしも……万が一、 そうだったら……高橋さんには絶対言えない。 アメリカに行く前なのに、 そんな事を知ったら……きっと……。
「ご飯。 おかわり頼んでも良い?」
「えっ? あっ……は、 はい」
「何、 ボーッとしてるんだぁ? 汽笛チャン」
「き、 汽笛チャン! な、 なんて事を……ひっど~い」
「まあ。 いつもボーッとしてるから、 変わらないか」
「高橋さん!」
「はい」
もう。 話にならない。
口を尖らせながら、 高橋さんのお茶碗を持ってキッチンへと向かい、 炊飯器の蓋を開けた。
「うっ……」
また……さっきと同じ。
でも、 今度は洗面所まで間に合いそうにない。 口を押さえたまま、 キッチンのシンクの縁に掴まりながら前屈みになった。
すると、 後ろから高橋さんが私を支えながら、 背中をさすってくれていた。
「大丈夫か?」
「はい……ごめんなさい」
「顔色も悪いし……朝食食べたら、 病院に行こう。 土曜だから、 午前中なら外来もやってるし、 明良も居るはずだ」
嘘でしょ? 
「だ、 大丈夫ですから。 本当に、 私だったら大丈夫です」
敢えて元気さをアピールするも、 思いっきり疑いの眼差しを向けられた。
「食欲もないだろ? 悪化してからじゃ、 大変だから」
「む、 無理です」
「ハッ?」