新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

信じる事が、 何なのかを。
私が泣いている時、 必ずといっていいほど高橋さんは、 いつも傍にいて涙を拭ってくれた。 そこには、 信頼と愛情が確実に存在していたから。 どんなに迷っても、 必ずその手を差し伸べてくれて、 真実へと導いてくれた。
それなのに……。
これからは、 何を頼りにすればいいの?
「高橋さん……」
「何だ?」
「私は……私は、 どうすればいいんですか?」
「お前は、 今のままでいればいい」
エッ……。
どういう事?
「そ、 それは、 高橋さんを待っていてもいいって事ですか?」
「そうは、 言ってない」
高橋さん……。
「俺は、 今よりもっと向こうに行けば、 ハードな仕事になると思う。 前回の時も、 そうだったから。 だからと言って、 お前に待ってろとか、 待っていて欲しいとか、 俺は言えない。 待たれても……」
「い、 嫌です。 言わないで下さい。 もう……もう、 聞きたくないです。 あ、 あの、 帰ります。 私……」
言い終える前にベッドから立ち上がって、 寝室から出ようとリビングの方へと急いで歩き出した。
「うわっ!」
その私の腕を高橋さんが引っ張って、 またベッドに座らせた。
「嫌です。 離して……聞きたくな……」
高橋さんが、 私を抱きしめた。
「俺が、 お前を置いて喜んで行くとでも思ってるのか?」