パティシエ総長と歪な少女


焼き魚を口に頬張りながら、ぼーっと御神楽のことを考えていた。

今までの自分の行動を振り返ってみた。

勝手に店に入って、勝手に驚いて、勝手に泣き出して、勝手に居座って、勝手に腹パンして、勝手に逃げて、勝手に殴りかかって、勝手に決めつけて……

まって、私、酷いことしかしていない!
私が勝手に被害者面しているだけで、彼は何も悪いことをしていない。

それに気づいた途端、恥ずかしさと後悔で顔が熱くなる。

自分の身勝手さに呆れる。

御神楽には悪い噂があるだけで、私に対しては今のところ何もしていない。
いや、悪いところがあるとすれば、それは「いらっしゃいませ」の声が異様な大きさだった、ということだけだ。


「はぁぁぁぁぁ……!」


気持ちを落ち着かせるために大きく息をついて、ご飯をかきこんだ。

これは…私が人としてまずいのではないだろうか。

そうこうしているうちに部活動やバイトを終えて来たのであろう中学生や高校生が次々に帰ってきた。


「ただいま〜!」

「今日のご飯何〜?」

「なんか手伝うことある〜?」


私は彼らの輪に入れなかった。

家族とは言え、私のコミュ障では彼らとさえうまく話すことはできない。

普通の人よりはまともに話すことができるくらいだ。