パティシエ総長と歪な少女




「それより竜司さん何やってんすか…!」



いまだに目の泳いでいる瑠衣が竜司さんを問い詰めた。



「はぁ?何って…………そういえばこれどういう状況なんだろう…?」



勢いよく言い返そうとした竜司さんが突然吃ってしまう。



「いやいやいや、誤解を生むようなこと言わないでよ…!」



焦った凛が竜司さんの肩を掴んで揺さぶった。



「誤解を生むって…この状況でどうすれば誤解を生まない言い方ができるんだよ。」

「私が疲れていたから眠らせてくれたんでしょ!」

「いや、それこそ誤解だらけじゃねぇか。」

「………っ、確かに…。」



ごちゃごちゃとコントのような会話を繰り広げる2人。

その時、絶妙なタイミングで中庭から、「ジャーーーーン!」とエレキギターの音が響き渡った。



「あ、あぁ、ほら!!後夜祭が始まんぞ!!」

「け、軽音部がライブするってさ!えーこれはなんの曲だろうねぇー!」



瑠衣と蓮が口笛でも吹かんばかりのすっとぼけ顔で話題を変えた…というより捻じ曲げた。

うん、あと、これは曲じゃなくてチューニングじゃないかな?

心の中で少しだけ突っ込んで、凛の手を引く。



「さ、行こう。夜はこれからだよ!」



ギターの音が響く校内を走る。

外から伝わってくる笑い声が私たちを包んだ。

振り向くと、手を繋いだ凛が微笑んでいた。

後ろから走ってくる蓮も弾けるように笑っている。

男子2人は、小突きあいながらゆっくりと歩いてきている。


あぁ、「日常」だ。


これが、私たちのかけがえのない大好きな日常だ。