パティシエ総長と歪な少女


寝ているのだろうか、2人とも微動だにしない。

椅子に座って頭を垂れている竜司さんと、竜司さんの膝を枕にして横たわる……凛。

窓からは後夜祭の明かりが差し込んでいて、二人を淡く照らしていた。



「………綺麗。」



思わずそんな言葉が漏れてしまう。

寄り添い合う二人は、なんとも言えない儚さを醸し出していて、一種の芸術作品のようだった。



「こ、こここ、これ邪魔して良いやつかな?」



オドオドする蓮はかなり逃げ越しだ。



「いやいや、つっても…起こすしかねぇだろ。」



蓮と同じくらい動揺している瑠衣が蓮と顔を見合わせる。

優柔不断な二人と、冷静に立ち尽くす私。

……これは、私が腹を括らなくてはいけないってことかな?



「いいよ、起こそう。」



一度決めたら引かない、それが私のコンセプトだ。

スパーンと教室の扉を開け放つ。

背後で瑠衣と蓮が息を呑んでいるが、気にしない。

スパーンと開け放したスライド式のドアは開けた途端反対側にぶつかってドカーンと派手な音を立て、ピシャン、と私の目の前で再び閉まった。

扉が閉まる直前、教室の中で竜司さんの頭がのけ反ったように見えた。



「あ、勢い強すぎた〜。」



とんでもない轟音を立てたドアに少々驚きながらも私は冷静にもう一度ドアに手をかける。



「ゆっこ……。」

「柳田……。」



なぜか怖い物でも見るような目で私を見てくる蓮と瑠衣には理解を示すことはできないが、音で驚かせてしまったかと若干申し訳なさを感じた。

今度はきちんと手を添えて静かにドアを開けた。

教室に一歩入った途端、目に飛び込んでくるのは竜司さんの恨めしそうな目。



「首……折れるかと思ったぞ…。」



あれ、竜司さんの首がのけ反って見えたやつ、見間違いじゃなかったんだ。



「ごめん、驚かせちゃったかな。」

「驚くも何もなんだあの音……。」

「力の加減ができなくて。」

「力有り余りすぎだろ!」



誠に申し訳ない。