「焼きそば屋……焼きそば屋……あった」
うっわ、すごい人………
焼きそば屋に群がる女子生徒たちに圧倒される。
でもどうやらマナーは守っているらしく、屋台まで不思議な隙間ができていて、注文する人は滞りなくたどり着けそうだ。
変なところで律儀な生徒たちだなぁ…。
焼きそばのいい香りに刺激されながらも、私はこのたくさんの女子生徒たちの間に入っていく勇気はなかった。
屋台から少し離れたところで止まってしまう。
何やってんだ私。
自分でもよく分からない。
目的があってここに来たのに、なぜ踏み止まってしまうのだろう。
「いらっしゃい!!」
すると、屋台から大声が聞こえてきた。
驚いて振り返ると、焼きそばを焼いていた生徒が私に向かって微笑んでいる。
「……あっ!」
あまりにも聞き覚えのある「いらっしゃい」と、あまりにも見覚えのある笑顔。
「竜司…くん」
そう呟いてしまい、慌てて口を覆う。
周りの女子生徒たちに聞こえていないかどうかが心配だった。
「うちのお客さん?焼きそば安いよ!」
突然女子たちの間をかき分けてやってきた知らない男子生徒に声をかけられた。
あ、この屋台の人か。
「は、はい」
勢いで返事をしてしまった途端手を引っ張られる。
「え、ちょ、ちょっと…」
「毎度ありーーー!!!」
いやまだ1回目なんですが!?
喉まで出かかったツッコミを前世の徳の力でグッと抑え込み、引っ張られるがまま屋台へと向かった。
「はい、注文は?つっても焼きそば一択なんすけどねぇ〜!うちの御神楽の焼きそばは美味いぞ〜!ははははは」
さっきまで痛いくらい私の腕を引っ張っていた男子生徒がすごく晴れやかな営業スマイルで注文を取ってくる。
なんだこの人は…。
