パティシエ総長と歪な少女






「はぁ……」


空き教室でため息を吐く。

人が多すぎる。

こんなの耐えられるわけないじゃないか。

雑踏の中で揉まれながら必死の思いで誰もいない空き教室に辿り着き、伸びている私はなかなか滑稽だ。

文化祭のざわめきが、遠くに聞こえる。

秋の気配を含んだ日差しが窓から差し込んで教室を明るく照らしている。



「外……賑わっているのかな。」



特に何も考えずそう呟き、窓辺へと寄った。

目を細めながら窓の外を見ると、中庭が見える。

中庭にはステージや屋台があり、大層な賑わいを見せていた。


ステージではダンス部が次々と踊りを披露し、周りの屋台は各々工夫された食べ物を売っていて人の呼び込みに忙しそうだ。

汗だくの生徒たちがいろいろな荷物を抱えて忙しく行き来している。

すれ違いざまに微笑み合う光景が眩しい。

青春…だな。

私とは縁がない。


ところで、ひとつの屋台だけ集まる人々の男女比のおかしい屋台がある。

屋台の名前は、「焼きそば屋」という何とも安直な名前だが、おかしなほど女性が集まっている。

………なんだろう?

屋台の場所的に、おそらく2年生の屋台だ。

この5階にある教室からは屋台の中は見えない。



「何が、あるんだろう。」



グーーーーーー……



興味と同時に、盛大にお腹がなった。

空腹が加速するにつれてだんだんと、「焼きそば屋」の魅力度が増していく。


ど、どうしよう。


焼きそば、めちゃくちゃ食べたい!……かもしれない。

こんがりと焼けた麺を思い浮かべて、唾液が止まらなくなる。


えーい、背に腹はかえられぬ!


気づいたら私は財布を持って教室を飛び出していた。