パティシエ総長と歪な少女


日にちが過ぎ去り、あっという間に文化祭本番となった。

一昨日は前夜祭もあったらしいが私はパス。

後夜祭は蓮とゆっこにめちゃくちゃ誘われているから渋々行くことにした。

後夜祭は有志の人たちが学園マドンナコンテストとかいうものをやったりしているらしい。

しかし、それよりも1番問題なのは、私があまりにも暇だということだ。

蓮もゆっこも部活の出し物があるから常に私と一緒にいられるわけではない。

そして、悲しいことに私がまともに話せる人はその二人くらいしかいないのだ。


「はぁ………」


友達、もう少し作っておくべきだったのかなあ。

でも友達の作り方なんて正直わからない。

ため息をつきながら教室に向かった。

人酔いしそうだ、気持ち悪い。

右を見ても左を見ても頭、頭、頭。

吐き気が込み上げてくるのを感じて、慌てて教室に駆け込んだ。


「あ、宮川さん来たー!」


ちょうど劇のリハーサルをやっていたのか、クラスメイトがだいぶ集まっている。

いつもの風景に心なしかほっとした。

いつもどうしようもなく緊張してしまう光景が、今の安心材料になっているのはなかなか不思議な気分だ。


「…あ……ありが…と」


声を絞り出すと、みんながキョトンとした顔をする。

あ、そっか、私何に対して感謝しているんだ…説明が足りなすぎる。

気づいた瞬間恥ずかしくなり、みんなから顔を逸らした。


「しゃ…喋ったよ……」

「宮川さんが喋った…!」



あれ?

クラスメイトたちは、私が喋ったことに対して驚いている。

私そんなに喋っていなかったかな。

恥ずかしさと申し訳なさでオロオロしてしまう。

瑠衣が、私を見てニヤニヤ笑っている。


あ、やっぱり無理だ。

大勢に一斉に注目されるのは無理だ!


虚しい心の叫びは胸の中で反響するだけだった。