パティシエ総長と歪な少女



「ぅ……ぁ…わ、わ、私の友達に手を出したらっ……!ただじゃおきませんよっ……!」


あぁぁ、何やっているんだ私は。

この状況を招いたのは他でもない私自身だ。

しかも、何宣戦布告しているんだ…!

思考のショートしそうな頭で、私がかろうじて考えられたことは…。


二人を守らなきゃ。


それだけだった。


もう一度御神楽竜司に向かっていく私。


「あ、や、やめろ!」


繰り出すパンチを払われる。


「おい、やめないか!良い加減にしろ!」

「やめろ!」

「こっちからも攻撃すんぞ!?」

「ちょ、待てって!この脳筋がぁあ!!」


必死に私に言い聞かせようとしているであろう御神楽の声がうまく聞こえなかった。

その時、御神楽がスゥっと息を飲み込むのが見えた。


「頼むからやめてくれぇええ!!!!!ケーキが痛むだろこの腹パン女!!!!!」


町中に響くかと思われるほど大きな声。

鼓膜がビリビリと震えた。

同時に、パニックを起こしそうになる。

ぺたんと膝をついて、呼吸を整えようと必死になる。


「はぁ、はぁ、はぁ。」


今の大声は不意打ちではなかったから泣き出すほどではない。
だけど、どんどん過呼吸に陥ってしまう。


「凛ちゃんっ!」


蓮ちゃんとゆっこちゃんが駆け寄ってきてくれた。


「大丈夫?酷いことされてない!?」


過呼吸になる私の背中をゆっこちゃんが優しくさすってくれる。

その手の温かさに呼吸がだんだんと落ち着いてくる。