教授の恋愛

「寒いですねぇ…」


舞岡さんがジャケットからカイロを出して、シャカシャカ振り出した。


「寒いなぁ…」


ジャケットからのぞく華奢な手は寒さで赤くなっている。

その手を暖めてあげたい。

でもできない。

今俺ができることは、舞岡さんに精一杯いろんな知識を与えること。

一教育者として、社会に出てからも立派に生きていけるように…しっかりした人に育てあげなきゃいけない。

心に秘めた想いは伝えられない…。

教授の俺に許されていることは、ただこうして見つめること…。


「由美ちゃ〜ん!タコ焼き買おうよ〜!」