教授の恋愛

木下のケータイが鳴った。

俺の目の前で電話に出た。


「もしもし?ん?今上野先生の研究室にいるけど………あー、うん、わかった!」


電話を切った木下の顔からはさっきの鋭さが消えていた。

少しだけほほ笑んでいる。


「待ち合わせの時間になったんで行きますね」

「じゃ…じゃあな!」


木下が研究室から出ていき、俺は一人ぼっちになった。



あいつは一体何を言いたかったのだろう?

俺に何を訴えてたんだ?

恋愛に関する質問ばかりして、俺から何を聞き出したかったのだ?



どっちにしても…俺は一生あいつと対等な恋愛話なんてできるはずがない。