四月になり、新学期が始まった。

春休みはまるで俺の不安を紛らわしてくれるような忙しさだった。


繰り返される学会。

成績付けに、講義準備。

家にいる日はほとんどなかった。


準備万端で迎えた四月。


また俺をどうしようもない不安が襲う…。



もう二度と舞岡さんは俺に笑顔をくれないような、そんな気がした。


できればこのまま逃げてしまいたい…。

心にでっかいもやもやを抱えながらも、俺の体は気付いたらゼミ棟に向かっていた。


「はぁ…」


ゼミ棟の前まできたら自然にため息が出た。

本当に俺はちっぽけな男だ…。