「……あ、」
「てか、泣いてる?どうしたの?ハグする?」
「はい……っ、てっ!えっっ!!???」
廊下で大きな声を出した私に、周囲の視線を感じ、穴があったら入りたくなった。
「もうっ!暁人先輩が変な事言うから!」
「ごめんごめんっ、でも、可愛い後輩が泣きそうになってるの見ると慰めたくなるし、なんか、弱ってるの見ると、そそるよね」
上からハイレベルな国宝級の端正なお顔が私を見下ろしている。
「なにいってるんですか先輩……」
「まぁ、なんかあったら言ってね?今日部活、頑張ろね」
「……はい!」
そう言って先輩は風のように去っていった。
全く台風のような人だな。


