撮影の最終日。
スタッフはリラックスしながら準備を進める。

須賀は、SNSで津田社長に対する恨みを綴る梨本に接触し、互いに相手を交換して犯行に及ぼうと持ちかけた。
そして梨本の代わりに津田社長を殺害し、現場に容疑者Bとして犯行予告を残した。
父親が容疑者Aとして追い詰められたことへの怒りを込めて。

津田社長殺害に対して梨本のアリバイを保証する代わりに、警視総監への脅迫を実行してもらう。
娘と孫を誘拐し、「全ての罪を白状しなければ命はない」と脅すつもりだった。
白状すれば、命まで奪うつもりはなかった。

だが予想外に早く現場を見つけられ、梨本が瞬に全てを話そうとするのを見て、念の為に仕込んでおいた爆弾をやむなく爆発させる。
それがまさか、あれ程の威力だとは予想せずに。

全てを明らかにした須賀の言葉を受けて、警視総監は記者会見を開き、過去の捜査方法について不適切だったと頭を下げた。

時は静かに流れ、瞬の心を少しずつ癒やしていく。

「おーい、大樹。早くしないと入学式に遅れるぞ」
「うん、今行く!」

ランドセルを背負った健悟の背中がぼんやりとカメラで捉えられる。

「行ってきます、楓」

リビングに置かれたフォトフレームに微笑んでから、瞬は健悟を追って部屋を出る。

アップで映し出された写真には、入園式の日の笑顔の3人が写っていた。