気づいたら深夜近くになっていて、どこかに泊まろうという話になった。
泊まることになったのは都内でも屈指のホテル。内装も豪奢でロビーがゴージャスすぎてどこかの宮殿みたいだった。案内をみると、スパやプールだけじゃなくて、レストランやショッピングモールなんかも充実していて、ホテルだけで数日は遊んで楽しめそう。
そわそわキョロキョロしていると、大牙くんがさっと手を差し出してきた。
「お手をどうぞ、お姫様」
「ありがとう」
大理石の扉のエレベーターに乗って最上階にあるスイートルームに到着した。
予約なしですぐにスイートルームに案内されるなんて大牙くんの顔は本当に広いみたい。
すごく綺麗だけど、こんな場所にきたことないからドキドキして落ち着かない。
自然石を使った、やわらかな雰囲気の色合いの部屋の中、キングサイズの広くて清潔なベッドが備え付けてあった。ジャグジーまで付いたシャワールームで身体を綺麗にした後、ふわふわもこもこの気持ちが良いバスローブに袖を通した。
ふかふかしていてすごく気持ちが良いな。大牙くんもシャワーを浴びていて、ドキドキしながら相手を待つ。
牛口先生の時はあれだけ嫌だったのに、大牙くんとならホテルもそんなに抵抗がない。
改めて気持ちを伝えてくれた大牙くんとこのまま結ばれたら幸せなんじゃないかなって、そんなことを漠然と思った。
「まゆりちゃん、まだ起きてる?」
ふわふわ夢見心地のまま待っていたら、湯上りの大牙くんが部屋の中に戻ってきた。水も滴る良い男という表現は大牙くんのためにあるんじゃないかというぐらい色っぽい。
ベッドにギシリと乗り上げてくる音が響いて、ますますドキドキして落ち着かなくなっていく。
高校時代は純粋に学生のお付き合いっていう感じだったから、こんなシチュエーションになったのは初めてで動悸が激しすぎる。
そんな中、大牙くんの長い指が私の髪を撫でてきた。
そうして、懇願するような声音で告げてくる。
「俺は十年待ってるから、この際、あと十年でも待てそう。だけど……もし、まゆりちゃんが良いって言うのなら……」
ドキドキドキドキ。
つまり、大牙くんが言っているのは、きっと私が想像していたことで……
勇気を出して告げる。
「ぜひ……!」
顔を上向かされると、そっと口づけられた。
「ありがとう、まゆりちゃん」
「あ……」
大牙くんの顔が首筋に沈み込んできて柔肌を吸い上げる。。
彼の大きな掌がそっと纏っていたバスローブにかかった。
クリスマス・イブからクリスマスにかかる深夜。
大牙くんと初めて結ばれることになったのだった。


