一心不乱に机の上に溜まった書類に目を通し、いくつかの報告書をまとめていく。
確認が必要な個所にメモをつけた後は、会計書類の確認をしていく。
右手の指先をそろばんの珠を弾かせる様に動かして、暗算で検算していく。
「その指は、何をしているのですか?」
「キャッ」
何!?
突然頭の上方から急に声を掛けられて驚いて声をあげてしまった。
ああああ!
検算が途中だったのに、分からなくなってしまったじゃない!
一体誰よ!?
イラっとしながら顔をあげると、そこにいらっしゃったのはルーカス様だった。
「ルーカス様!?」
どうしてルーカス様がここにいるの?
「ベルナルド様に手紙を書いたでしょう?
まず私が様子を見に来るように言われたのです」
「様子・・・でございますか?
私、昼食後にマルクス王子殿下がいらっしゃると書いたはずですけれど、なんの様子を見にいらしたのです?」
「それはカイン様のご様子ですよ」
何を当たり前のことを聞いているんだ、とでも言いたいような表情をされたけれど、どうしてそんな顔をされなくてはいけないの?
全く持って意味が分からない。
「私でございますか?」
頷いたルーカス様は、
「そうです。
いつもカイン様は御父上の執務室にいらしているようだが、何をしているのかと思っていたのですよ」
「事務仕事をしております。
と言っても、私ができることは限られておりますが」
「事務官たちの邪魔になっているのではないですか?」
「まあ!」
なんて失礼なことを言うのでしょうとブチ切れそうになるのをググっと堪える。
「邪魔なんてしてませんわよ、ねえ?」
と向かいに座っている先輩の事務官に同意を求めた。
「え?あ。はい。なっていません」
「正直に言っていいのですよ。
邪魔なら邪魔と言うせっかくの機会を無にしてはいけません」
物凄く失礼なんですけど!!
はははっと笑った先輩は
「本当に役に立っていらっしゃいますよ。
御覧のとおり、カノン様は計算がお得意なんです。
速くて正確ですし。
今のように検算していただけるのでとても助かっています」
と言った。
それを聞いたルーカス様は、目を丸くして、
「検算?
今のが?
目の前に置いてある計算機を使わず、指を動かして遊んでいただけではないのか?」
こちらの世界の計算機は10個の珠が入った細い棒が10段あり、その段が上から順に一の位、十の位…の位を示し、左から右に数を加えていくものだ。
私はそれを使わずに奏音時代の知識を利用して、暗算していた。
算盤を習っていた時の癖で指で珠をいれてしまうのだ。
私は小学校を卒業と同時に辞めてしまったが、ずっと続けている人は指で入れることなく、暗算をする。
確認が必要な個所にメモをつけた後は、会計書類の確認をしていく。
右手の指先をそろばんの珠を弾かせる様に動かして、暗算で検算していく。
「その指は、何をしているのですか?」
「キャッ」
何!?
突然頭の上方から急に声を掛けられて驚いて声をあげてしまった。
ああああ!
検算が途中だったのに、分からなくなってしまったじゃない!
一体誰よ!?
イラっとしながら顔をあげると、そこにいらっしゃったのはルーカス様だった。
「ルーカス様!?」
どうしてルーカス様がここにいるの?
「ベルナルド様に手紙を書いたでしょう?
まず私が様子を見に来るように言われたのです」
「様子・・・でございますか?
私、昼食後にマルクス王子殿下がいらっしゃると書いたはずですけれど、なんの様子を見にいらしたのです?」
「それはカイン様のご様子ですよ」
何を当たり前のことを聞いているんだ、とでも言いたいような表情をされたけれど、どうしてそんな顔をされなくてはいけないの?
全く持って意味が分からない。
「私でございますか?」
頷いたルーカス様は、
「そうです。
いつもカイン様は御父上の執務室にいらしているようだが、何をしているのかと思っていたのですよ」
「事務仕事をしております。
と言っても、私ができることは限られておりますが」
「事務官たちの邪魔になっているのではないですか?」
「まあ!」
なんて失礼なことを言うのでしょうとブチ切れそうになるのをググっと堪える。
「邪魔なんてしてませんわよ、ねえ?」
と向かいに座っている先輩の事務官に同意を求めた。
「え?あ。はい。なっていません」
「正直に言っていいのですよ。
邪魔なら邪魔と言うせっかくの機会を無にしてはいけません」
物凄く失礼なんですけど!!
はははっと笑った先輩は
「本当に役に立っていらっしゃいますよ。
御覧のとおり、カノン様は計算がお得意なんです。
速くて正確ですし。
今のように検算していただけるのでとても助かっています」
と言った。
それを聞いたルーカス様は、目を丸くして、
「検算?
今のが?
目の前に置いてある計算機を使わず、指を動かして遊んでいただけではないのか?」
こちらの世界の計算機は10個の珠が入った細い棒が10段あり、その段が上から順に一の位、十の位…の位を示し、左から右に数を加えていくものだ。
私はそれを使わずに奏音時代の知識を利用して、暗算していた。
算盤を習っていた時の癖で指で珠をいれてしまうのだ。
私は小学校を卒業と同時に辞めてしまったが、ずっと続けている人は指で入れることなく、暗算をする。



