ラピスラズリ ~前世の記憶を思い出した伯爵令嬢は政略結婚を拒否します~

「ルカ―!今の捕まえられただろうー?」
「申し訳ありません。細すぎて、骨を折ったかと思ってしまいました」

「ちょっと、骨折って危な過ぎですわ!
力加減を考えてくださいませ!」
振り返ってルーカス様に文句を言った。

「大丈夫です。次は捕まえます」

そう言って駆けだしたルーカスは、あっいう間に私の目の前に移動した。

そして、背中に手を当てたと感じた瞬間、逆の手が膝裏に入り、ふわっと体が浮いた。

「きゃっ」
お姫様抱っこーーーーーーーーーーー!!!!!!!!??????

「捕まえました」
冷静な報告口調で言い、檻ゾーンにお姫様抱っこのまま連れて行かれる。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ」

降ろして!恥ずかしいから!!
恥ずかしすぎて言葉にならない。

「カノン様、手首は大丈夫ですか?」
「え?」

「先程捕まえた時、痛いとおっしゃっていたので」
「あ。は、はい。大丈夫です」

掴まれた手首を反対の手で撫でたのを見つめ、
「痛いですか?」
「いえ。全く。ほ、ほら、なんともなってないです」

出した手をじっと見つめ、
「よかった。怪我がなくて安心しました。申し訳ありませんでした」
と、安堵の微笑みを浮かべた。
「大丈夫ですよ。ゲームですから」

檻ゾーンに入ったルーカス様は私を抱いたまま片膝をつき、私を降ろした。
そしてそのまま走って次の泥棒を目指して駆けだした。

優しい抱き方。
背中から肩に回された腕の温かさ。
胸板の硬さ。
服越しに伝わる熱を思い出す。

は、はずかしいいいいい!


瑠伽より筋肉ががっしりしてた。
瑠伽は細くはなかったけれど、ムキムキってわけでもじゃなかった。
でも、軽々と私をお姫様抱っこしてくれた。瑠伽の胸の中に抱っこされてテレビを見るのが好きだったな。
前世の記憶をたどりながら、ボーっとみんなを見るともなく見つめていた。