「んー残念」

「まさか2人とも部活とはね」

4人で勉強会と思いきや、和人くんはバスケ部で練習があったことをすっかり忘れていたらしい。

鈴音はというと、バスケ部のマネージャーをしていて同じく勉強会には来れなかった
 
「ええええぇぇぇぇ椿くんと勉強するのぉおおおおおー私も行きたかったぁああああああ」

「んードンマイ」

そんな会話を最後に鈴音は体育館へ旅立っていった

「んまぁパパっと終わせて帰ろう」

「そうだね」

今日話していて思ったが、やはり椿くんは話しやすい人である。遠回しにではなく、伝えたいことはしっかり言葉にして話すから、会話する身としては気楽である。

「あのさ」

「ほい」

「授業のとき、橘の意見って、確か、私は魔女のようになりたいだっけ?」

「んんんそうなんだけどそうじゃないな」

「あれ、悪者になりたいんじゃなかったっけ」

「ちゃうちゃうちゃうちゃうおい」

「ふっ笑笑笑」

口元を隠し、顔を窓の方に向け体を震わせて笑いをこらえている椿くん

「あんね、お兄さん、笑いすぎですよ貴方」

「ごめ、笑笑、ごめんごめん笑笑」

「もーこれだから最近の若いもんはー」

「いや、お前も同じ年だろ」

「バレたか」

「じゃなくて、これを聞きたかったんじゃなくて」

「ん?なに」

「えーと、橘は魔法使いのように自分を守りなさい、勇者のように好きな人を守るのはおかしい、ってこと?」

「んー、おかしい、というかわからない」

「わからない?」

「その、簡単に言うと、その、好きな人に対する守りたいって思いが分からなくて、分からないから勇者の気持ちに共感できないって感じ」

「んーじゃあ、反対してるわけじゃないのか」

「そうそう、えーと、お兄さんは勇者のように好きなやつを守れ!男だろ!だっけ?」

「違うぞ、男限らず老若男女だぞ、あとお兄さんってなんだよ」

「わかんない」

「わかんないが1番意味わかんねぇよ」

「あら口数が少ないミステリアスな女性なだけだよ」

「お前授業のときに、ユーモアのある人っていってたのにミステリアスでもあんのかよ」

「そーそー兼ね備えすぎてんの」

「笑笑笑」

「あーほらまた笑う、椿くんってツボ浅いね」

「いや笑笑なんだろね、んー未確認生物と話してるみたいで新鮮で面白くて、」

「未確認生物とはなんだ。そこはミステリアスで魅力のある女性でしょ」

「まぁそれはおいといて」

「え置いてくな」

「なんか、うーん、関わってくる異性が、ここまで面白く話してこないっていうか、だから結構新鮮で」

「えちょっとお兄さん、なんか私が異性じゃなく男の子と同じ性格みたいになってますけど」

「あれ男の子じゃなかったっけ?」

「えー何そんなに殴られたいの?言ってくれればすぐ殴るのに」

「いや笑笑大丈夫です笑笑」

「遠慮しなくていーよ」

「えー悪いよ他の人に譲るよ」

「誰に譲るんだい」

「えー和人で」

「次あった時は殴ってあげよーっと」

「和人こりゃオレに感謝するなー」

「なんか棒読みやないかい?」

「気のせい」

「ならよかったー」

意外と気まずい雰囲気もなく、時間は過ぎていきノートをまとめることができた。