暫く抱き合っていると、咲が身動ぎし、口を開いた。 「せ、せんせ… 本棚の中にある あの青い表紙のやつって 先生の高校のときの 卒業アルバムですか…?」 そうだ、と言うと彼女は目を輝かせ、見たいと言ってきた。 それを承諾すると、するりと俺の腕から抜け、本棚に駆けていった。 まだ咲を抱きしめていた感触が手の中に残っていて、何か物足りない気持ちだった。