「おじゃま…します」 そう言って、彼女はおずおずと部屋に入ってきた。 男の部屋が珍しいのか、きょろきょろと辺りを見わたしていた。 その行動がなんだか、天敵に狙われた小動物みたいで、面白くて笑えた。 そわそわと落ち着かなかった咲は、何か思い出したように鞄の中から箱を取り出した。 「あ、あの、ケーキ! ケーキちゃんと 作ってきましたっ!! 今から食べましょう!?」 どうやら、約束通り俺の誕生日ケーキを作ってきてくれたらしい。 少し、…いや、かなり嬉しいかもしれない。