「せ、せんせいっ!」




そう言って振り向いた咲は、なんだかいつもよりテンパっていた。



なんていうか、彼女は読めない女だが、こういう所は実にわかりやすい奴だ。





(俺の部屋に来ること
 緊張してんのが、
 まるわかりなんだけど…)






読めない女




でも、


俺の言葉に


俺の行動に


いちいち顔を赤くして、慌てふためく、読みやすい女。





わかりにくいのに


わかりやすい


コイツは、矛盾した女だ。




でも、


だからこそ、すごく愛おしく思ってしまう。