白い道に足跡を残しながら、俺は桜並木の道に向かっていた。 白い空から降り続く雪は、俺の持つ透明なビニール傘にこんこんと積もり、ずしりと重みを増していく。 そして、桜並木の道に着いたとき、そこにはもう、俺を待つ彼女がたっていた。 傘の隙間から入った雪で、彼女の黒いコートは白く染まっていた。 (待たせちまったな…) 寒い中待たせたことを悪いと思いながら、彼女の名を呼ぶ。 すると、彼女は慌てて振り向いた。