「せんせい…っ」 その声に気づいたのか、先生の視線が私に向けられる。 彼が、優しく微笑む。 白い息をはきながら先生のもとへ行くと、「別に走んなくて良かったのに」と言われ、大きな手で頭を撫でられた。 そして、その手が頭から離れると、今度は私の手に触れた。 ぎゅうっと握られる。 私も、ぎゅうっと握り返す。