部屋に入ってきた途端に柚香が「これ誰の?」とベッドにあったズボンを持って私に見せてきた。




や、やばすぎる…

一瞬で滝のような汗をかいてしまった。




この人たちに先輩が家に来たとバレたらやばすぎる。



浴室乾燥機で乾いたからあとで袋に入れとこうと思って、不意にベットに置いといたのが間違えだった。


最悪。

何て言おうと頭をフル回転させた。





『あ、あのね…専門の時の友達が来て飲んでたの』

「あ、そうなの?だから来なかったの?」

『そうそう』

「それで何でズボンがあるの?男物だよね?」

と、

龍生が突っ込んだ質問をしてきた。



私は心の中で落ち着けと連呼しながら2人の鋭い質問に答えた。





『男物だけど、着てるのは女の子だよ』

「そうなんだ〜今日は同期会で飲もう〜」

「昨日、凛に電話した後に橘先輩来たんだけど…秒で帰って行ったから来れば良かったのに…と思ってたけど。楽しんでる時に電話してごめんね」

『全然いいよ』





飲みに顔を出した橘先輩はその後、私のところに来たとは言えるはずもなく、嘘を嘘で塗り固めるしかなかった。





罪悪感はあるけど、仕方ない。

笑って、このことを言える日が来るのだろうか…