「冷え性ならホットココアが良いですよ」

突然、隣の席に座っていた男性が千裕たちに話かけてきた。

「…え」

怪訝そうな表情で、千裕は男性を見る。

その男性はメガネをかけていて、なんとなくいわゆる草食系男子な見た目をしていた。

あ、ちーちゃんの苦手なタイプだ…と喜々良は思った。

案の定、

「あ、結構です。
あたしの事は気にしないでください」

千裕は冷たく男性をあしらった。

それでもめげず、男性は、

「僕、この近くでカフェをやっているから良かったら来て下さい」

千裕に名刺を渡すと、お会計をして帰って行った。

「喜々良、さっきの、どう思う?」

「さっきの??」

キョトンとしている喜々良に、

「さっきの男」

苛立ったように千裕は答えた。