‐「喜々良(ききら)、2人目はまだ?」

千裕(ちひろ)は親友の喜々良とチューハイを飲んでいた。

「もう子どもはいらないよぉ」

喜々良は苦笑いを浮かべる。

「生夏(きっか)は何歳?」

「10歳」

「早いね~!
てか、きっかって名前、変わってるね。
『夏』って漢字を入れたいなら、『夏喜(なつき)』が良かったんじゃない?」

「それはダメ。
世(よ)に出てるから」

「世?は?」

意味がわからないと言うように、千裕は眉をひそめるが、喜々良は何も言わない。

「じゃあ、喜海香(きみか)は?」

「それはもっとダメ!
ろくな大人にならん!」

「ねぇ、さっきからそれなんなの?」

千裕はため息をつく。