7月中旬の月曜日、ある男子高校生がいた。その名は、吉井良(よしいりょう)。
 クールであるが、何を考えているか分からない男子高校生。
 その友人で親友の明石宗馬(あかいしそうま)。何気ない日常生活を送っているいわゆる普通の男子高校生。
「良。今日、数学の宿題提出じゃねぇ? やった?」
 明石宗馬は目を細めて笑い、走り続けた。
「やった」
 その返答に良は無表情で答える。
「あ、お前やってないだろう。今、嘘をついた。俺、分かるんだからな」
 明石宗馬はニッと笑い、良を見た。