「あなた方も魔力がないとずっと閉じ込めていた娘を厄介払いできていいんじゃありませんか? 一生隠しておくこともできないでしょう。……いつ、真実が明るみに出るかわかりませんからね」
暗に、断れば知っていることをすべて世間に流すと脅せば、公爵は狼狽(うろた)えた。
「し、しかし……。それに、なぜブランシュなのですか。殿下なら他にいくらでも……」
リオネルがブランシュを娶りたいと希望した理由は、もちろんある。
ひとつは大叔母シャルリーヌとの約束。
もうひとつは――大叔母から聞いていた彼女の持っている〝色〟にあったが、そんなことをわざわざ説明してやる必要はないだろう。
渋る公爵に、リオネルはもう少し畳みかけた方がいいだろうかと考えたが、その前に、ふん、と鼻を鳴らして公爵夫人が口を開いた。
「いいではないですか、あなた。だって殿下はもうじき辺境に向かわれるのでしょう? それほど遠くなら、ブランシュがどうしようと、噂になったりしませんわ」
リオネルは内心でおやと目を見張った。
リオネルの辺境行きは先ほど王妃に告げられたばかりだ。それなのにどうして公爵夫人がそのことを知っているのだろう。
暗に、断れば知っていることをすべて世間に流すと脅せば、公爵は狼狽(うろた)えた。
「し、しかし……。それに、なぜブランシュなのですか。殿下なら他にいくらでも……」
リオネルがブランシュを娶りたいと希望した理由は、もちろんある。
ひとつは大叔母シャルリーヌとの約束。
もうひとつは――大叔母から聞いていた彼女の持っている〝色〟にあったが、そんなことをわざわざ説明してやる必要はないだろう。
渋る公爵に、リオネルはもう少し畳みかけた方がいいだろうかと考えたが、その前に、ふん、と鼻を鳴らして公爵夫人が口を開いた。
「いいではないですか、あなた。だって殿下はもうじき辺境に向かわれるのでしょう? それほど遠くなら、ブランシュがどうしようと、噂になったりしませんわ」
リオネルは内心でおやと目を見張った。
リオネルの辺境行きは先ほど王妃に告げられたばかりだ。それなのにどうして公爵夫人がそのことを知っているのだろう。



