「あれ、兄上どこに行くの?」
ただ、およそ欠点だらけのリュカだが、彼の唯一の長所と言える点はこの人懐っこさだろう。
リオネルが王妃に疎まれていることを知っているはずなのに、リュカはてんで気にしていない。
ふらふらとリオネルのそばに寄ってきて、準備させている馬車を見ると目を丸くした。
「どこかに行くの? ついていっていい?」
「……ダメに決まっているだろう」
今帰ってきたばかりなのに、おもしろそうな気配を察知したのか、リュカはわくわくした顔で言う。
「じゃあどこに行くかだけでも教えてよ」
「シャプドレーヌ公爵家だ」
「え、やっぱり行きたい!」
「だからダメだと言っているだろう」
リュカがシャプドレーヌ公爵家のなにに興味を示したかなんて、考えなくてもわかる。ブランシュだ。
シャプドレーヌ公爵家にブランシュという名のひとり娘がいることは、もちろん社交界でも知られた事実である。ただし、体が弱く、到底外には出せないため、公爵が娘の体を気にして社交デビューすらさせていないともっぱらの噂だ。
ただ、およそ欠点だらけのリュカだが、彼の唯一の長所と言える点はこの人懐っこさだろう。
リオネルが王妃に疎まれていることを知っているはずなのに、リュカはてんで気にしていない。
ふらふらとリオネルのそばに寄ってきて、準備させている馬車を見ると目を丸くした。
「どこかに行くの? ついていっていい?」
「……ダメに決まっているだろう」
今帰ってきたばかりなのに、おもしろそうな気配を察知したのか、リュカはわくわくした顔で言う。
「じゃあどこに行くかだけでも教えてよ」
「シャプドレーヌ公爵家だ」
「え、やっぱり行きたい!」
「だからダメだと言っているだろう」
リュカがシャプドレーヌ公爵家のなにに興味を示したかなんて、考えなくてもわかる。ブランシュだ。
シャプドレーヌ公爵家にブランシュという名のひとり娘がいることは、もちろん社交界でも知られた事実である。ただし、体が弱く、到底外には出せないため、公爵が娘の体を気にして社交デビューすらさせていないともっぱらの噂だ。



