ユウイチは、俳優の佐藤健さんになりたいと思っていた。いや、雰囲気は、それなりにある。たまに、ユウイチは、「芸能人の雰囲気がある」と言われて、それで、40代になったのだが、どうしたら良いのか、と思った。
 確かに、俳優の佐藤健になりたいと40代になっても思っている。
 今では、Tverだったり、ネットフリックスだが、それでも、佐藤健さんの映画やらドラマを観ている。
 「ああ、俺も、こんな風になりたかったのだが」と思っている。
 今年は、どうだったのかと振り返った。
 そして、横浜駅から京急快特青砥行きに乗って、考えてみた。
 朝から周りを見て、みんなも、スマホの画面とにらめっこしている。
 最近、彼女が、まったくいないと思う。
 学校を卒業して、何人かの女性と交際をしたが、上手くいなかった。
 横浜駅から川崎駅、蒲田駅、平和島と進む。
 時々、車窓から見る街の風景を見るとクリスマスのイルミネーションが飾っている。
 よくCMでも映画でも流れるあのクリスマス。
 ユウイチは、甥っ子と姪っ子がいる。
 甥っ子は、中学1年生になった。
 姪っ子は、小学校5年生になった。
「ああ、今年も、オレは、到頭、一人か」とため息をつく。
 いつまでアダルトサイトでオナニーをしているのかと悩む。
 妹のさやかは、もう結婚して10年が経過する。
 さやかの旦那は、男前だ。
 スポーツ用品店で仕事をしている。
 ダンナと時々、将棋をするが、また負けた、と思う。
 ユウイチは、この京急快特青砥行きで、いつも品川まで行くが、いつの間にか、カーブが多く揺れの激しい電車にも慣れた。
 こんな時、みんなを乗せて運転している京急快特の運転士さんは、ユウイチにとって何故か憧れの的になる。
 物価が、どんどん上昇している。
 パン代もコーヒーも値上がりしている。
 また、アパートの家賃も値上がりしている。
 駐車場代も値上がりしている。
 ウクライナの戦争。
 イスラエルの戦争。
 夏の暑さが異常になっている。
 最近、アクアは、残念だけど、手放した。
 このアクアだって、本当は、この1年前の彼女と北海道までドライブをしたのだが、駄目だった。
 彼女は、少しだけ、ボーイッシュな感じで、元気溌剌で良かった。
 何度かミカと寝た。
 そして、寝た時は良かったのだが、「ユウイチは、自分勝手」と言われて違う男と一緒になった。
 東京からアクアで、福島とか宮城、岩手の宮沢賢治記念館に行き、美味しいものを食べたが、駄目だった。
 ただ、ミカは、乗り物酔いをしていた。
 アクアの車内で、何度か吐いていた。
 よく考えたら、2020年に新型肺炎コロナウイルス感染症が、流行した時、ミカは、コロナにかかったのだから。