「ななっ。今度さ、俺らとクリパしね?」
12月も半ばを過ぎた頃、芹沢の属する4人組の女子グループに声を掛ける、とある男子たち。
……アイツらはダメだ。あんまいいウワサ聞かねえ。
部活もせずに、他校の女子としょっちゅう合コンしてるってウワサだし、かといってまだ特定の彼女がいるわけでもなし。
行くな。断れ、芹沢……!
会話を盗み聞きしたまま拳を握りしめる俺。
「——風間? なあ、おまえちゃんと俺の話聞いてる?」
友だちの田中が、俺の顔を覗き込みながら、非難の色を声ににじませる。
「へ!? あ、おお。大丈夫。聞いてる、聞いてる」
「いや、それ全然聞いてねえだ……」
完璧な空返事をする俺に向かってツッコもうとする田中にヘッドロックをかけると、『おい、ちょっと今は黙れ』と耳元で低い声で言う。
そんな俺に、コクコクと無言でうなずく田中。