じゃりっ、じゃりっ、と境内の砂利道を踏みしめ拝殿まで進むと、財布から五円玉を取り出し、投げ入れる。


 こいつの飼い主が見つかりますように。

 それに……いやいや、なに考えてんだ、俺。

 左右に首を振って、雑念を振り払う。

 とにかく、ネコが元気になって、芹沢も元気になりますように。

 うん、これだ。


 お祈りを終えて顔を上げると、隣には、まだ目を閉じて真剣にお祈り中の芹沢の横顔があった。

 ネコは、抱きかかえたままじゃ電車に乗れないからと、さっきの動物病院で貸してもらったキャリーケースに入れられ、足元で静かにしている。

 お祈りが終わった彼女が、ふっと俺の方を向き、視線が交錯した瞬間、ふいっと目をそらす、意気地なしの俺。


「じゃあ、今度こそ帰るか」

「うん」


 その後しばらくして、無事ネコの飼い主が見つかったと、動物病院から連絡があったらしく、アイツは飼い主の元へと戻ったそうだ。

 そして、無事すべての問題が解決した瞬間、俺と芹沢とのつながりも、そこで終了。

 だけど、教室で友だちと楽しそうに過ごす彼女のことを、気づくと目で追うようになっていた。