「結構すごい人だな」

「うん。こんなに人気の神社だとは思わなかったよ」

「ははっ。だなー」


 今日来ているのは、ミーコ……じゃなくて、どこかの脱走ネコを保護した帰りに立ち寄った神社だ。

 あの日は、俺たちの他に人影もなく、凛とした神聖な空気に満ちていた境内が、元旦の今日は、初詣客であふれ返り、活気に満ちている。


 拝殿の前に立つと、俺は財布から小銭を取り出した。

 この前は5円だったけど、今日は奮発して500円だ。


 神様、お願いします。

 芹沢が、今年一年、ずーっと笑顔で過ごせますように。


 あー……あとちょっとだけ奮発したんで、もう一個だけいいっすか?

 できればこのあと……。

 いや、やっぱり自分でがんばるんで。

 どうか、温かい目で見守っていてくださいっ。


 力いっぱいお祈りをすると、俺たちは二人揃って拝殿をあとにした。