「ごめん……芹沢」


 うおー、俺、これ、やっちまったんじゃね!?


 思わずその場にしゃがみ込む俺。


「え!? ど、どうしたの、風間くん」

 オロオロした芹沢の声が響く。

「ミーコに会いに行こうなんて……マジで下手すぎだよな、俺」


 そんでもって、こんな情けない姿を見せてる時点で、もう救いようがないわ、これ。

 だけど……もうここまで来たら一択だろ。


 パンパンッと自分の頬を引っぱたいて気合を入れると、すくっと立ち上がり、芹沢の前に立つ。


「あのさ、俺……あの日から、ずっと芹沢のことが気になってた。だからつまり……俺、芹沢のことが、好きなんだ」

 意を決して俺がそう言うと、芹沢がひゅっと息を呑む。

「だから……俺と付き合ってください」


 俺の前に立つ芹沢が、黙ったまま両手をぎゅっと握りしめている。

 そのまま俺たち二人の間に、長い沈黙が落ちる。


 さっきまでまったく聞こえなかったのに、街中で流れるクリスマスソングがやけに大きく聞こえてくる。


 しばらくすると、芹沢がゆっくりと口を開いた。