ピピッ、ピピッ…。
そんな無機質な音で目が覚めた。目に映るのは真っ白な天井。
……ここはどこ?
身体を起こそうとしたけど、腰にひどい痛みを感じて、横になった。
「あ…君、起きた?」
ぼーっとしていると、隣に男の子がいた。年齢は同じくらいだろうか。
パーカーにジーンズといったラフな格好をしている。
「あ、えっと…、ここはどこですか」
声は掠れたが、なんとか言葉になった。
「ここは、苫台中央病院。君は、腰を骨折して、入院しているんだ。看護師を呼ぶから、ちょっと待ってね」
「はい…」
そういうと、男の子はナースコールを押した。
結局、私は死ねなかったということか。それで、腰を骨折したと。
とたんに、絶望感に襲われる。
「俺は、松岡ノアっていうんだ。イギリスと日本のハーフ。よろしくね」
そういって松岡さんは少し笑うと、私の正面にあるベッドに腰掛けた。
間もないうちに、看護師の女性が入ってきた。
「濱田怜南さん。体調はいかがですか?」
「すこし、怠いです。あと腰が…」
「わかりました。腰は、骨折しているんです。救急搬送されてから、すぐに手術と処置は行いましたが、4〜5か月は入院してリハビリをしなければならないと思います」
あの学校から離れられるのか。そう思うと一気に安堵が押し寄せた。
「あの、親は」
「親御さんは、搬送された日のうちにお越しになり、医者の説明を受けられました。意識が戻ったら、見舞いにくるとおっしゃっていましたよ。お仕事が忙しいようで、なかなか来られないかもしれませんが」
そう言うと、「では失礼しますね」と言って看護師は去っていった。
お母さんには悪いことをしたな。でも、頼れなかった。
女手一つで私を育ててくれて、貧乏だけど一生懸命働いてくれている。
だから、迷惑かけられなかった。だけど、これじゃあ、余計に迷惑かけるだけじゃん…。
そう考えると、涙が出てきた。ほんと、親不孝者。
自己嫌悪に陥っていると、松岡さんが声を掛けてきた。
「なに、そんな思い詰めてるの?俺で良かったら、話聞くよ」
なんで、私を解っているのだろう。
「いえ、大丈夫です…。ごめんなさい」
「謝ることないって。話したくないならいいけど、大丈夫っていう人は大体大丈夫じゃないから。吐き出すのも大事だと思うし、いつでも聞くからね」
久しぶりにあたたかい言葉を聞いた気がして、ただでさえ流れていた涙が、とめどなく溢れてきた。
そんな私をただ受け止めるかのように、松岡さんはずっと私の背中を撫でてくれた。
そんな無機質な音で目が覚めた。目に映るのは真っ白な天井。
……ここはどこ?
身体を起こそうとしたけど、腰にひどい痛みを感じて、横になった。
「あ…君、起きた?」
ぼーっとしていると、隣に男の子がいた。年齢は同じくらいだろうか。
パーカーにジーンズといったラフな格好をしている。
「あ、えっと…、ここはどこですか」
声は掠れたが、なんとか言葉になった。
「ここは、苫台中央病院。君は、腰を骨折して、入院しているんだ。看護師を呼ぶから、ちょっと待ってね」
「はい…」
そういうと、男の子はナースコールを押した。
結局、私は死ねなかったということか。それで、腰を骨折したと。
とたんに、絶望感に襲われる。
「俺は、松岡ノアっていうんだ。イギリスと日本のハーフ。よろしくね」
そういって松岡さんは少し笑うと、私の正面にあるベッドに腰掛けた。
間もないうちに、看護師の女性が入ってきた。
「濱田怜南さん。体調はいかがですか?」
「すこし、怠いです。あと腰が…」
「わかりました。腰は、骨折しているんです。救急搬送されてから、すぐに手術と処置は行いましたが、4〜5か月は入院してリハビリをしなければならないと思います」
あの学校から離れられるのか。そう思うと一気に安堵が押し寄せた。
「あの、親は」
「親御さんは、搬送された日のうちにお越しになり、医者の説明を受けられました。意識が戻ったら、見舞いにくるとおっしゃっていましたよ。お仕事が忙しいようで、なかなか来られないかもしれませんが」
そう言うと、「では失礼しますね」と言って看護師は去っていった。
お母さんには悪いことをしたな。でも、頼れなかった。
女手一つで私を育ててくれて、貧乏だけど一生懸命働いてくれている。
だから、迷惑かけられなかった。だけど、これじゃあ、余計に迷惑かけるだけじゃん…。
そう考えると、涙が出てきた。ほんと、親不孝者。
自己嫌悪に陥っていると、松岡さんが声を掛けてきた。
「なに、そんな思い詰めてるの?俺で良かったら、話聞くよ」
なんで、私を解っているのだろう。
「いえ、大丈夫です…。ごめんなさい」
「謝ることないって。話したくないならいいけど、大丈夫っていう人は大体大丈夫じゃないから。吐き出すのも大事だと思うし、いつでも聞くからね」
久しぶりにあたたかい言葉を聞いた気がして、ただでさえ流れていた涙が、とめどなく溢れてきた。
そんな私をただ受け止めるかのように、松岡さんはずっと私の背中を撫でてくれた。