「せれねぇ」
さっきまで遠くにいたこたくんが、気がつけば目の前にいた。
周りの女の子から刺さる視線が痛い。
「こたくんっ…!お、おはようっ。」
…今日もなんか不機嫌そうな顔してる。
「1人で起きれたんだね!」
「…別に1人でも起きれる」
ぶっきらぼうにプイッとそっぽを向いてしまったこたくん。
そんなこたくんに胸がちくっと痛む。
「そっ、そっかぁ。じゃあ私必要ないね」
毎日起こしに行っていたのは私のエゴで、私がただこたくんに会いたかったからなんだね。
「は?」
俯いていると、殺気だった声が聞こえて急いで顔をあげる。
…また眉間にすごい皺。
昨日から私の言動一つ一つが気に食わないみたい。
「ね、ねぇ、な、なんで怒ってるの」
反抗期なのか?
「来て」
ため息混じりの言葉と同時に、手首を掴まれる。
「ちょっと!まだ途中なんだって」
引っ張っていくこたくんの背中に抗っても、びくともしない。



