「あ、こたくんだ。」
学校へ続く並木道の奥、いつも通り女の子たちに囲まれて進んでくるこたくんを発見する。
私、今日時間なくて髪もボサボサだし、メイクもろくにしてない!
あ、リップも塗ってないよ!
どうしようこたくんが近づいてきちゃう。
せめて寝癖だけでもなんとかならないかな、と髪を必死に手櫛でといてみる。
その様子を見ていた松前くんが、にこっと笑って私に顔を近づけてくる。
「もしかしてさ…戸田の好きな人って琥太郎?」
突然近づいてきて何かと思えば!
「なんで知ってるの!?」
「ふふっ、分かりやすすぎ!!」
吹き出したように豪快に笑う松前くん
「恥ずかしい…」
あーもう…
この気持ちは円にしか言ってないのに。
両手で顔を隠して、なんとか動揺している心を落ち着かせようと試みる。



